Thunderbolt3 AIC 一覧 (2019年12月版)

2018年10月に一度、Thunderbolt3 AIC一覧をまとめているのですが、ちょうどコメントをいただいたので、今の商品でまとめ直してみます。

Thunderbolt3に使われているコントローラの種類

現在Intelから提供されているThunderbolt3コントローラチップは3つの世代があります。
これ以前にThunderbolt, Thunderbolt2コントローラもありましたが、2019年12月現在、Windows10でサポートされているのは下記のThunderbolt3チップになります。
Alpine Ridge 第一世代 (DSL6540, DSL6340)
Alpine Ridgeは2015年に登場した最初のThunderbolt3コントローラです。世界初のThunderbolt3搭載マザーボード GIGABYTE Z170X-UD5 THや、Dell XPS13 (2015年末モデル)にも採用されていました。
USB 3.1 Gen.2サポートのIntelチップセットはなく、ASMediaの最初のUSB 3.1 Gen.2チップはPCIe Gen.3 x1であり、フルスピードが出せなかったため、PCIe Gen.3 x4でフルスピードが出せるUSB 3.1 Gen.2チップとしても使用されていました。
このため、当初はIntel製USB 3.1 Gen.2搭載として売り出された後、FWアップデートでThunderbolt3対応となった、マザーボードがいくつかあります。
Alpine Ridge 第二世代 (JHL6540, JHL6340)
AppleがMacBook Pro (2016)で初めてThunderbolt3を採用した時に使ったのが第二世代となる、新Alpine Ridgeです。
第一世代Alpine Ridgeで使用したTiのUSB Type-Cコントローラにエラッタがあり、接続上の互換性に一部問題が出たということで、Mac OSは第一世代Alpine Ridgeを採用したデバイスを接続不可にしていたことでも話題になりました。
各種デバイスに対する互換性としてはAlpine Ridge第二世代がもっとも互換性が高いと思われます。
Titan Ridge (JHL7540, JHL7340, JHL7440)
第三世代コントローラとなるTitan Ridgeは2019年12月現在、最新版となります。
第三世代では入出力するDisplayPortが1.2から1.4にアップ、USB2.0コントローラが外されて外部から提供するように変更されています。
また、ドック用のチップとしてJHL7440が追加されています。これは、デバイスとして使用する場合、Thunderbolt3ホストに対してはThunderbolt3として接続して、PCIeブリッジ+USB3.1Gen.2+DPとして動作し、USB3.1ホストに対しては、USB3.1Gen.2+DP Alt.デバイスとして振る舞うことで、PCIeブリッジとThunderbolt3デイジーチェーンポート以外は、USB3.1ホストでも使用できるものとなります。
実際にJHL7440を使用してThunderbolt3とUSB3.1双方のドックとして動作するhp Thunderbolt 3 Dock 120W G2があります。

既存のThunderbolt3 AIC

GIGABYTE GC-ALPINE RIDGE

GIGABYTEの最初のThunderbolt3カードです。DSL6540を採用しています。
Z170, H170, B150, Z270, H270, B250世代を対象にしたカードですが、一部Z370マザーボードとも正式に互換性が歌われています。
Rev.1.0とRev.2.0が存在するのですが、Thunderbolt3コントローラのステッピングが変わっているだけで、明示的な違いの情報はありません。
USB PDは5V/3Aと12V/3AのPD2.0に対応です。
現在はGC-TITAN RIDGEが発売されて製造中止になっています。
GIGABYTE GC-TITAN RIDGE

GIGABYTEの現行モデルです。jHL7540を採用しています。
Z370以降のマザーボード、TRX40マザーボードと互換性があります。
X399マザーにはTHB_C端子があるものがあるのですが、正式に互換性を保証しているものはありません。
一部の調査では、X399マザーにGC-TITAN RIDGEを組み合わせると、カードを装着するスロットによっては動作するという報告もあります。
第三世代コントローラを採用している、USB PD3.0 100W (20V/5A ポート1のみ。ポート2は27W 9V/3Aまで)に対応しているなど、他のカードにはない最新版ならではの特徴があります。
ASRock Thunderbolt 3 AIC

ASRockのThunderbolt3カードです。JHL6540を採用しています。
ASRockのZ270以降のマザーボード、X570マザーボードに対応しています。
AMD CPUで初のThunderbolt3対応となったマザーボードとの組み合わせが保証されているカードです。
USB PD2.0 5V/3A, 12V/3Aに対応しているカードです。
現在はマイナーチェンジしたR2.0に置き換わっています。

ASRockの現行モデルです。
R2.0なしのモデルとの違いは、内部mini DisplayPort IN端子があることです。
ASRockのRX590 Phantom Gaming Uには内部mini DisplayPort OUT端子があるため、ケース内部でDisplayPort接続が可能です。
PCIe Gen.3 x4を延長して、例えばフロント5インチベイにThunderbolt3を取り付けるといった使い方ができます。
しかし、日本でRX590 Phantom Gaming Uが販売されていません。
今後、RX590以外のGPUで内部接続できるビデオカードが発売されることを期待したいところです。
ASUS ThunderboltEX 3

日本では単体販売されていない、ASUSのThunderbolt3カードです。
海外では単体販売されているので取り寄せることは可能です。
DSL6540を使用しています。
他のThunderbolt3カードとの最大の違いは、Thunderbolt3ポートが1ポートしかありません。
DSL6540なので2ポート搭載可能なのですが、片方はUSB3.1Gen.2 Type-Aコネクタになっています。
また、NVMファームウェアがeGPU非対応のNVMファームウェアになっています。
はっきり言って、今からこれを買う理由はないでしょう。
MSI Thunderbolt M3

MSIからもThunderbolt M3というカードが発売されていますが日本では単体販売がありません。
というか、海外でも単体販売が見つかりません。
MSIのX299マザーボードCreator X299にバンドルされています。
チップとしてはDSL6540ではないかと思われますが、現物を見たことがないので確実な情報がありません。
買おうにも入手困難ということで、これを使うのもバンドルされているマザーボードを使っている人以外には関係ないでしょう。

Thunderbolt3 AICの互換性

Thunderbolt3 AICを使用するには、PCIExpress Gen.3 x4以上のスロットと、THB_CやTBT1などの名称が付いている端子が必要となります。
細かな条件はあり、保証もありませんが、メーカー混在でも動作するパターンがあります。
THB_C端子の互換性
THB_C端子は仕様の詳細が公開されていません。しかし、端子は、+5V, GPIO, PowerState, GNDで構成されており、GPIOでPCIeカードの抜き差しが無くてもPnPを走らせる(つまりThunderbolt3 AICを挿抜しなくても、Thunderbolt3デバイスのホットプラグを検出させる)、PowerStateで節電に入っている状態をThunderbolt3コントローラに通知する機能を持っているとみられています。
このため、+5VとPowerStateを接続することでThunderbolt3コントローラを騙して、THB_C端子のないマザーボードでGC-TITAN RIDGEを使う手法が一部のサイトで挙げられています。ただし、PnPも動かないので電源投入時に全てのデバイスを繋いでおく必要があり、便利とは言いがたいので、技術的に面白いというだけですね。

このTHB_C端子、ASUS, ASRock, MSIは同じコネクタを使用しているのですが、GIGABYTEは初期のZ170, H170, B150マザーでは他社と同じコネクタを使用していたのですが、Z170X Designareあたりから、小型化したコネクタに変更しています。
このため、GC-ALPINE RIDGE、GC-TITAN RIDGEは、両対応のTHB_Cケーブルが付属しています。
これがGIGABYTEの製品に付属しているTHB_Cケーブルのマザーボード側接続端子になります。
左側の大きなコネクタが他社互換のコネクタ、右側の小さいコネクタがGIGABYTEの現行マザーボードが採用しているコネクタになります。
結線自体は爪のある側を向き合わせてストレートに結線されているだけで、特に加工されていません。このため、コネクタ形状が異なるだけで、機能は同じと思われます。
よってGIGABYTEのThunderbolt3 AICを他社製マザーボードで使用することはできますが、他社のThunderbolt3 AICをGIGABYTEで使用する場合は、H170やB150のマザーボードを除き、そのままでは使用できません。
UEFIとの互換性
Thunderbolt3コントローラの初期化を行うドライバはUEFI BIOSに組み込まれています。
Z170/H170/B150世代の場合、Alpine Ridge対応のドライバは組み込まれていますが、Titan Ridge対応のドライバが入っていないものと思われます。
実際に、GIGABYTE Z170X Designareは、オンボードThunderbolt3コントローラ(DSL6540)がありながら、THB_Cも搭載している、貴重なマザーボードとなっています。
このマザーボードに、GC-ALPINE RIDGEを追加すると、Thunderbolt3 4ポートの構成が実現できます。
しかし、GC-TITAN RIDGEを追加しても、Windows上で未対応デバイスとなってしまいます。
またGIGABYTE B150M-D3Hでも同様にGC-TITAN RIDGEは未対応デバイスになってしまいます。
おそらくUEFI BIOS内蔵のドライバとの互換性がないのでしょう。

しかし、ASRock X570 Taichiでは、GC-TITAN RIDGEを正常に認識し、使用できます。
GIGABYTEのZ370マザーでも、GC-ALPINE RIDGEとGC-TITAN RIDGE両対応のマザーボードがあるので、最新のドライバが組み込まれたUEFI BIOSがあれば、両対応は可能とみられます。


なお、当方では下記の組み合わせについて検証済です。
GIGABYTE B150M-D3H
 + GIGABYTE GC-ALPINE RIDGE (動作保証の組み合わせ)
 + ASUS ThunderboltEX 3
 + ASRock Thunderbolt3 AIC
GIGABYTE Z170X Designare
 + GIGABYTE GC-ALPINE RIDGE
ASRock X570 Taichi
 + ASRock Thunderbolt3 AIC (動作保証の組み合わせ)
 + GIGABYTE GC-TITAN RIDGE
ASRock X570 Pro 4
 + ASRock Thunderbolt3 AIC (動作保証の組み合わせ)

USB2.0 Type-C + DisplayPort Altモードとしてのみ動作(USB3.1Gen.2やThunderbolt3としては動作せず)
ASRock AM1H-ITX
 + GIGABYTE GC-TITAN RIDGE

NGの組み合わせ
GIGABYTE B150M-D3H
 + GIGABYTE GC-TITAN RIDGE
GIGABYTE Z170X Designare
 + GIGABYTE GC-TITAN RIDGE

ということで、現在、Thunderbolt3 AICを購入するなら、GIGABYTE GC-TITAN RIDGEがおすすめです。
ただし、GC-TITAN RIDGEが動作しない可能性がある、Z170, Z270マザーでは、ASRock Thunderbolt3 AIC R2.0がおすすめです。

上記以外の組み合わせでの報告などありましたら、ぜひお教え下さい。

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この記事へのコメント

  • イチケン

    初めまして。Gigabyte GC-TITAN RIDGEを使ってDP1.4からThunderbolt 3に変換してUSB Cディスプレイに接続する場合USB2.1ポートとPCIe3.0 x4を接続しないでPCIexpress補助電源のみだと動作しないのでしょうか?

    また、ノートパソコン→TB3出力なしeGPU→DP1.4→デスクトップに接続したGC-TitanRidge( DP1.4 to TB3変換器としてのPC)→TB3→USB Cディスプレイは可能でしょうか?



    2020年01月22日 19:10
  • どてやの戯れ言

    >イチケンさん

    まず、GC-TITAN RIDGEを動かすには、PCIeスロット側に給電することが必要です。
    補助電源はUSBバスパワー/USB PDのために+12Vを増強するためのものなのでチップを動かす+3.3V電源はPCIeスロットから供給する必要があります。

    しかし、Athlon 5350環境ではTHB_Cを接続していないですし、PCIEデバイスとして動作もしていない状態で使えました。また、USB2.0を接続しなくても、USB機器として認識しないだけなので、PCIeスロットにカードを挿して、補助電源を接続してバスパワーを補強すれば、USB Type-Cディスプレイに接続するだけの目的であれば使えるはずです。

    時間的に余裕ができる2月末か3月末以降になると思いますが、試してみたいですね。
    2020年01月24日 22:23
  • イチケン

    >どてやの戯れ言さん

    GC-titan ridgeを購入して (https://www.amazon.co.jp/dp/B0752CT2HC/ref=cm_sw_r_cp_tai_FK9kEb5GGTTT7) この商品と組み合わせて使ってみたところ無事使えました。 ライザーカードの特性上、USBケーブルを挿していないと起動しなくなっているようですがマザーボード側には刺さずに電源供給しておけばいけました。
    アドバイスありがとうございました!
    2020年01月25日 15:03